看護部の理念と基本方針
看護部の特長
2010年に救命救急センターの指定を受け、24時間専門医療チームで「断らない救急」に取り組んでおり、年間およそ9,000台の救急車、20,000人を超える救急患者の受入を行っています。救命救急外来には、専属の看護師が配属され、重症の患者さんを優先して診察するためのトリアージナースとしても活躍しています。また、熊本県DMAT(Disaster Medical Assistance Team;災害派遣医療チーム)指定病院であり、先の東日本大震災にも出動しました。
急性期病院である当院は、脳血管疾患や心疾患、外傷など救急看護が必要な患者さんが多く、一番患者さんのそばにいる看護師の役割は非常に重要です。また、各専門分野による多職種チームで診療にあたり、看護師はその中心的役割を担っています。高度な医療の提供のため専門性の高い看護を目指し、救急看護や集中ケア、脳卒中リハビリなど認定看護師も多く活躍しています。
患者さんが自宅で安心して生活できるように、退院後の療養先を一緒に考えていくことはとても重要です。2010年に継続看護室を設立し、入院早期から支援の必要な患者さんに対し退院に向けての調整を行っています。さらに、退院支援看護師の院内認定制度を導入し、退院支援、在宅支援のスキル評価も行っています。また、予防医学については、予防医療センターを設置し、日ごろからの健康管理の促進や最先端のがんドックなど予防医療にも力を入れています。
新人看護師の教育体制として、実地指導者や教育担当者を配置。2011年よりE-ナース(Education-ナース)を各部署に配置し、新人教育や実習学生などの教育、指導を専門に行い、看護師の育成に力を入れています。また、クリニカル・ラダーを用い、能力開発・評価を行い、個人の目標達成に必要な看護実践能力の向上を組織全体でサポートしています。
部署の紹介
外科センター
胆石や胃癌、大腸癌の腹腔鏡下手術、肝臓・胆嚢・膵臓癌の高度専門手術、人工肛門造設、乳癌手術を中心に医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、MSWが専門性を活かし、患者さんの全身状態の管理や回復に向けたケアをチーム医療で行っています。手術予定の患者さんにはクリニカルパスにて説明を行い、手術後のイメージができ安心感に繋がるように努めています。
消化器病センター
消化器疾患の診断・治療を行う病棟です。消化管出血や急性胆管炎などは内視鏡による診断治療が必要なため、内視鏡技師資格を持った看護師が24時間緊急対応しています。悪性疾患の患者が多いため、それぞれの病態に合わせて、患者・家族が望む治療選択などの意思決定支援やターミナル期の患者には療養環境の調整と苦痛緩和、精神的サポ-トに努めています。
四肢外傷センター
交通外傷や大腿骨頚部骨折など周手術期の急性期看護ケアが中心です。特に大腿骨頚部骨折患者は年間約200例の手術が行われ、術後は地域連携パスを用いて患者・家族が安心してリハビリや療養継続できるよう退院支援・生活指導に取り組んでいます。また、入院患者の平均年齢が85歳と高齢者が多いため、転倒、認知症などに対する安全管理やせん妄予防などにも力を入れています。
呼吸器/腫瘍/糖尿病センター
当センターは、肺炎・肺がんなどの呼吸器科、化学療法や緩和療法を中心とする腫瘍内科、糖尿病・高脂血症などを治療する糖尿病科から構成されます。医師・看護師・薬剤師・栄養士などの多職種によるチーム医療を積極的に取り組み、患者さんの立場に立った専門的で質の高い医療、ケアの提供に努めています。患者カンファレンスの機会が多くあり、スタッフ間のコミュニケーションも良い部署です。呼吸管理、糖尿病教育、症状マネジメント、在宅支援など多くのことを学ぶことができるので、呼吸療法士や糖尿病療養指導士、ケアマネジャーを目指すなどやりがいを持って頑張っています。
腎・泌尿器センター
腎臓・泌尿器疾患の外科・内科系の混合病棟です。手術は年間約500症例が行われています。「ウロストーマ」を造設する患者に対し、患者・家族が病気を受容し、安全に安心して在宅療養ができるよう、精神的サポ-トに努めながら、生活指導や他部門との調整を行っています。また、腎臓内科では透析(血液・腹膜透析)導入になる患者に対して、クリニカルパスやパンフレットなどによる説明の充実を図っています。
心臓血管センター西・東館
心臓血管外科と循環器内科からなる一般病棟です。虚血生心疾患、心不全、不整脈疾患や心臓血管外科手術前後の治療看護を行います。心疾患は退院後の自己管理がQOLに影響するため、心臓リハビリテーションに力を入れ、患者教育に取り組んでいます。専門性の高いケアを提供するために、心臓リハビリ指導士、自己血輸血認定看護師などが活躍しています。
救命救急ICU/集中治療室
心疾患、心臓外科手術患者さんへの高度専門医療に取り組み、医師と看護師が同乗する心臓専用救急車を配備しています。段階的な教育体制による人材育成に力をいれており、呼吸療法士、心臓リハビリ指導士、ICLSなどの資格取得者や集中ケア認定看護師などが活躍しています。
脳卒中センター
急性期の脳神経疾患の患者さんに対し、病状に応じた治療やケア、回復に向けた支援が提供できるよう、リハビリや口腔ケア、体位ドレナージなど医師や薬剤師、理学療法士の多職種と協働しています。特に日常生活援助が必要となった患者さんにはスタッフ全員でQOL向上を目指したケアや地域との連携に努めています。
救命救急病棟
救命救急病棟は2010年5月より救命救急センターの病棟部門として開設された20床の病棟です。突然の病気やけがにより救急来院し、治療の緊急性が高い患者が入院する病棟で、救急入院を24時間体制で受け入れています。患者さんやご家族が安心でき、また、安全に治療がすすむよう他職種と連携しチームで取り組んでいます。
混合病棟
混合病棟は脳卒中を中心に呼吸器、消化器、整形外科疾患など複数の診療科の患者が入院する病棟です。緊急入院や救命救急センターからの転床の患者が多く、特に早期リハビリ、嚥下訓練などの合併症予防、再発予防のための生活指導に力を入れています。混合病棟では幅広い知識・技術を得られるとともに興味を持った科を専門的に勉強していくこともできます。
救命救急HCU/HCU
当部署では断らない救急に取り組み、年間約8000台を越える救急車が搬入されます。
脳疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、外傷などで救急入院される患者さんの初療から集中ケアを学ぶことができます。常に救急患者の受け入れができるよう体制をとり、医師、薬剤師、理学療法士など多職種チームで高度専門医療、質の高いケアの提供に努めています。
中央手術室
手術部では高度専門の手術を年間5000件以上行っています。特に最近では低侵襲手術が増加してきています。安全で安心な手術看護を実践するために診療科別のグループ教育体制によるスキルアップを図るとともに、多職種とのチームで褥瘡・感染対策、深部静脈血栓予防などに努めています。さらに術前訪問・術後訪問も積極的に行っており、よりよい周手術期のケアが提供できるようにチーム一丸で取り組んでいます。
日帰り手術・治療室
日帰り手術とは日常生活の中断を最小限にすることがメリットであり、手術当日に来院して手術を受けることができます。現在主な手術として手指骨折、抜釘などの整形外科、シャント作成や前立腺生検などの腎・泌尿器科、心臓血管カテーテルがあります。日帰り手術は患者さんや御家族との関わりが短い時間なので、担当医師、麻酔医師、外来や手術室看護師との連携を密に行い、丁寧な説明と確認に力を入れています。安全・安心な手術・治療を受けることができ、患者さんの満足が得られるように努力しています。
血液浄化室
69床のベッドを有し、24時間体制で血液浄化療法を行っています。CAPD患者の生活指導や、フットケアなど安全で質の高い透析医療が提供できるよう医師・看護師・臨床工学技師とチームでの取り組みを行っています。
救命救急外来
断らない救急をモットーに急性心筋梗塞や脳梗塞、外傷など、緊急性や重症度を迅速にトリアージしながら受け入れており、年間8000台を越える救急車が搬入されます。救急外来では初療をスムーズに行うために各診療科の医師との連絡調整や看護師によるフィジカルアセスメントに力を入れています。
外来
当院では約1万人/月の外来患者がおられます。患者さんがスムーズに快適に診察・治療ができるよう看護師が中心となって外来運営を行っています。
血管造影室
当院では、心臓疾患から脳疾患、消化器疾患に至るまでの検査・治療を実施しています。また、ハイブリッド手術室を配置し、カテーテルによる高度な血管内治療を実現しています。看護師は、高度医療を支えるチーム医療の一員として、重要な役割を果たしています。
TQM部
TQMとはTotal Quality Managementの略で、総合質管理や総合質経営などと訳されています。TQM部には感染や医療安全などの認定看護師が活躍しています。病院を多角的な視点から捉え、総合的な質向上に取り組んでいます。
予防医療センター
当センターは豊富な知識・経験をもつスタッフと最先端の設備によって、より高度で専門性の高い人間ドックの提供と受診者の健康管理をサポートしています。特に2008年から特定健康診査・特定保健指導が制度化され、生活習慣病予防に力を入れて取り組んでいます。職域では企業従業員の健康管理活動を担い、地域では地域住民に対する健康教育を通して健康増進・疾病予防に関する普及啓発など、地域のニーズに応じて活動しています。
外来がん治療センター
外来がん治療センターの化学療法室は外来通院で化学治療を行いますので、自宅や職場での生活が可能であり、患者さんは増加傾向(年間延べ3600件以上)にあります。
当院は地域がん診療連携拠点病院であり、多職種チームでがん診療や専門的で質の高いケアの提供に努めています。最近ではIVポート造設による安全な治療が確保しやすくなり、患者さんのセルフケア支援などQOL向上を目指した取り組みに力を入れています。また、患者さんやご家族が安心して治療が受けられるように対話を大切にし、環境に配慮した看護を行っています。